2020/05/31

メメント・モリ

どうも。

モリをメメントする

原田宗典という作家が好きです。
正直な話をすると、今は、昔ほど好きではないです。

高校生の時に「17歳だった」という本に出会って以来、彼の書籍は片っ端からまさに「読み漁った」経緯があります。

それまで、「本」に書かれている文章というのはある程度まじめで堅苦しいものだという固定観念がありました。
でも、原田氏の書く文章にはそれがなく、「こんなことを書いてもいいのか?いいんだ!?表現とは自由なんだ!」と思わされました。
原田宗典にそれまでの固定観念が打ち砕かれた次第です。

軽妙洒脱なエッセイのみならず、いい意味でも悪い意味でも「後味の残る」小説も大好きでした。


でも、ちょうどぼくが大学を卒業するぐらいから出版のペースは落ちてきて、「最近見ないなぁ」と思っているうちに、薬物で逮捕されたというニュースを耳にし、正直、冷めてしまいました。

「平成トムソーヤ」という小説があって、その中でもクスリをやっているような表現があって、そこれが受け入れられず読むのをやめたこともあって、「やっぱりクスリやってたのか」と思ったら、とても悲しい気持ちになってしまいました。

その後、執筆活動を再開したような情報が入ってきたのですが、なんとなく「冷めて」しまっていたので、食指が動かず今に至っていました。


ただ、昨今、外出を控え、休みの日でも自宅で過ごすことが多くなったので、本でも読んでみようかと思った時に、どうしても候補に挙がってくるのが「原田宗典」なので、ここらで一つ観念して読んでみようかと思った次第で、読んだ本が「メメント・モリ」。

2016年に出た本で、最近文庫化されたようです。
本屋に行くのも面倒だったので、amazonの電子書籍で読みます。

電子書籍、今まであまり利用してこなかったのですが、思った以上に読みやすいですね。
とくに、寝っ転がっても影にならないから読めるというのがとても大きいです。
半日もかからずに読んでしまいました。

内容としては、まとまりはなく、時系列も前後しているし、事実なのか創作なのかも判然としません。
が、そんなに悪くはありませんでした。
確かに、かつてのエッセイの面白さとか、小説の切れ味とかもないです。
だけれども、それでもそこかしこに表れる「原田節」を感じることができたので、それだけでもよかったんじゃないかと思っています。

クスリ、逮捕、女性関係、双極性障害、自殺未遂などなど、テーマはどんよりと重苦しいのですが、それでも、読むのをやめたくなるわけでもなく、「へぇ、そんなことがあったんだ」と感じながら読めました。
まぁ、半分は本当で半分は嘘なのかも知れませんけれども。

ともかく、原田はひとまず、この暗澹たる期間をテーマに執筆することで一つの「けじめ」をつけたかったのかなと思いました。

「メメント・モリ」の後の作品も、一つくらい読んでみなきゃなあと思った次第です。
「メメント・モリ」後は良くなったのか、悪くなったのか。


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