2019/09/29

社会人落語日本一決定戦2019決勝

どうも。

みんなすごいね。


昨日から社会人落語日本一決定戦のために大阪に来ています。
昨日は無事に(?)予選敗退したので、今日は決勝戦を見るだけの一日になります。

昨晩あまり深酒をしなかったために、朝はすんなり起きれます。
ホテルをチェックアウトして、最寄りの駅に荷物を預け、電車に乗って決勝戦が行われるアゼリアホールへ。

開場まえの順番待ちで一番乗りかと思いきやすでに待っている人がいたので2番乗りくらいでした。

時間があったので、近くの公園にきのこを探しに行ったのですが乾燥が強く何も生えてなかったし、ボランティアの方が公園の掃除をしてて、完全に不審者とみなされてしまいそうだったので、早々に退散。
おとなしくホールの入り口で順番を待ちます。

このイベント大人気らしく、会場の前には大行列ができていました。

そして開場。
「予選参加者は予選の時に配られたネームプレートを見せたら入場できる」と大会案内に書いてあったのですが、当日はリーフレットについてる入場券が必要とのことで、入り口でやや混乱してました。
今回は記念品があるとのことで、入場券が必要になったようですが、入場券1枚で2人まで入れるのでそこまで厳密にする必要があったのかなぁと思います。
また、予選会に出場した人はすでに「参加賞」をもらってるので、決勝戦の記念品はなしでもよかったんじゃないのかなと思います。
まぁ、もらえるもんはもらいたいですけどもw

そんなこんなで、一番前で観覧します。
今回の決勝戦の顔ぶれと落語はこんな感じ。

竜宮亭無眠「片棒」
呆っ人「延陽伯」
もしもし亭姫楽「お見立て」
二松亭風林火山「なぞなぞ怖い」
麹家ペイ太郎「蛙茶番」
山笑亭こよん「締め込み」
参遊亭遊若「たがや」
団子家みたらし「風呂屋番」
道落亭かね平「犬七もっと」
夢見家春木「船徳」

以下個人の感想です。
「片棒」
ぼくは学生時代に「片棒」をやったことがあって、全然うまくできなかった経験があります。
どの辺が難しかったのかというと、お囃子を歌ったり、山車の人形の真似をしたりと、しゃべりだけではないスキルが要求されるところです。
この辺が上手にできれば「葬式」をテーマにしているにも関わらず、逆に華やかでとても楽しい落語になります。
で、無眠さんは、この辺がきっちりこなされてて、一番手の登場で会場の雰囲気を一気に落語の空気に変えることができたのはさすがだなあと思いました。
余談ですが「片棒」にはいつかリベンジしたいと思っているので、今度は自分のやりやすいように改作したいなぁと思ってます。

「延陽伯」
呆っ人さんの落語、初めて拝見させていただきましたが、とても声がよくて、活舌もよくて、所作もしっかりしてらっしゃいます。
この声と歯切れのよさが相まって、聞いていてとても気持ちよかったです。
無眠さんに引き続ききっちりとした古典落語でした。
言い立ての部分でちょっと言いよどんでしまったのが惜しかったですけど、そのあと落ち着いてリカバリーされたところも見習わなきゃいけないなぁと思いました。

「お見立て」
実は同じ予選会場でした。予選会場の舞台袖ですれ違ったときに強烈な「紫」のインパクトを受けました。
声が大きくて、また極端すぎるほどの杢兵衛大尽の表情もあって落語のほうでもインパクト大でした。

「なぞなぞ怖い」
風林火山さんの「なぞなぞ怖い」は予選会場でも拝見させていただきました。
「饅頭怖い」の改作かと思いきや、全然違って本当に「なぞなぞを怖がる人」が出てきます。
「なぞなぞを怖がる人」は「怖いなぞなぞ」を楽勝で解いてしまう…実はサイコパスだった、というほんとに怖い落語でした。
風林火山さんは声がよく通る人で、初めてこの社会人落語の大会に出たときに同じ「ゆいゆいプラザ」という会場だったのですが、会場の外にまでも風林火山さんの声とお客さんの笑い声が轟いていて、「やばい人だ」と思ったんですよね。
あの時はたしか「たけのこ」という落語で、その時も決勝に進んで「3位」を受賞されたんですよね。
今回もよく通る低い声で「これなーんだ」と言われたら、背中がゾクゾクします。
この落語、落とし方が難しいなぁと思いました。どうすればいいのかはぼくにもわかりませんけど。
「大正から昭和に変わったとき」という設定をもっと活かす、とかかな、なんて漠然と考えてみましたが、まぁ、そう簡単には思いつきませんね。

「蛙茶番」
バレ噺なのでどうなるかなぁと思いましたが、これもしっかりとした古典落語でした。
考えてみれば決勝に進むくらいなので、あまりにも痛烈なバレ噺は出てこないですよね。
ただ「なぞなぞ怖い」の後はちょっとやりにくかったかもしれないなぁと思ったりもしました。

「締め込み」
こよんさん、おとなしそうな人なのに、落語に入った途端豹変。
そのギャップに度肝を抜かれました。
しかしながら、その一つ一つの所作が丁寧で、雑さが見当たりません。
特に夫婦喧嘩をする旦那さんの表現がうまいなと感じました。
そして腕を振り上げる動作もかっちり決まっていてキレもいいです。
動作の大きい落語はともすればドタバタ感が目立ったしまうことがあるのですが、こよんさんの落語には雑さがないので、ドタバタ感を感じない、見てて疲れない落語でした。うまい。

「たがや」
ぼくは学生時代に「たがや」をやったし、そこそこ気持ちよく喋れた数少ない落語で、好きな落語のうちの一つです。
たがやの啖呵はもとより、花火の喧騒、チャンバラを地の文でよどみなく表現するところ、そしてなんといっても白眉だったのは「Queen」に「We will rock you」が出てくるところでしょうか。
客席全体を巻き込んだ派手な演出はとてもマネできるもんじゃないなと思いました。
これ、小朝師の「たがや」では「『あと一人!あと一人!』…今も昔も変わりません、あと一人コールでございます」というセリフがあって、この部分がなんとなく現代に合わないなぁと感じていたので、それが、まさかQueenで来るとは。いやはや。完敗です。

「風呂屋番」
みたらしさんの作品。ちなみにみたらしさんはつい先週の「ちりとてちん杯」でも3位を受賞されるほどの「勢いにのってる」人です。
さてこの風呂屋番、古典落語「湯屋版」の改作なのですが、ビッグバンのように膨らむ妄想で形成された落語です。
「妄想力」というのも一つの才能だと思うのですが、ここまで振り切れた「妄想」を表現できるのはただ事ではありません。
「男性が女性に抱く妄想」だと「いやらしさ」が包含されてしまい、見てて「ちょっときついなぁ」と感じてしまうことがあるのですが、みたらしさんが描く「女性が男性に抱く妄想」はその「いやらしさ」がなく、みてて楽しくて、まるで本当に番台に座っている主人公を目の当たりにしているようです。
「妄想力」ぼくも鍛えないとなぁ。若いころに比べるとだいぶ衰えてきたなぁ。

「犬七もっと」
正式名称は「犬七もっとハートマーク」。
「ハートマーク」は環境依存文字なので表記していません。
どんな落語だろ?と思っていたら、「動物鳴きまね芸をする一門」の話でした。
正直言って、めちゃくちゃバカバカしいのですが、こんなカオスなストーリーを落語に落とし込みそれを演じるというのは、常人ではとても無理だと思います。
ただ事ではないと思います。ぼくはこの噺大好きです!わんわん!

「船徳」
春木さんは、初めてこの大会に出場した時に同じ会場でした。
ぼくは知り合いが誰もいなかったので、控室の隅でちっちゃくなって着替えていたら、出番が近かった春木さんに話しかけてもらいました。
「いつから落語やってるんですか?」と聞かれたので
「学生の頃落研だったんです」と答えたら
「学生の頃にやってた人はやっぱり違うよ!ゴルフだってさ学生の時にやってた人はスイングがちがうもん!」なんて会話した記憶があります。
ここまで書いておきながらゴルフの話をしたのは違う人だったかもしれないと思ったりしてますが、とにかく誰も知り合いがいなくて隅っこでブルブル震えてたぼくにやさしく声をかけてくださった人です。
船徳は10分間でうまくまとまっていて、省略された部分に不自然さを感じませんでした。
ストーリーを過不足なく編集してあって、よくできてるなぁと思いました。
船徳もたくさん所作が入って難しい噺ですが、その辺もきっちりこなしてあって見てて安心感がありました。

以上、個人の感想です。

あと、「お手本」として前回のチャンピオン神楽家小粋さんの「つる」も披露されました。
前日、小粋さんに「明日のお手本はなにするんですか?」と聞いたら
「あれはお手本じゃないです!明日は古典落語をします!」と宣言されていたので
落語が始まって「昔は首長鳥と言っていた~」の部分で、「へぇ、普通に『つる』やるんだ!」と思ってみてみたら、後半が全然違ってました。
理屈っぽい「小粋節」の真骨頂でした。
「やられた」と思いました。
この人には絶対かないません。

以上、個人の感想その2でした。

そうこうしているうちに、結果発表。

結果は…
1位 参遊亭遊若「たがや」
2位 団子家みたらし「風呂屋番」
3位 二松亭風林火山「なぞなぞ怖い」
市長賞 山笑亭こよん「締め込み」 
でした!

おめでとうございます~。
「たがや」はやっぱりQueenが効いたかなぁ。
「風呂屋番」は勢いがあるからなぁ。
「なぞなぞ怖い」は怖かったもんなぁ。
「締め込み」ギャップが面白かったもんなぁ。

個人的な総括としては、例年この大会では「自分の職業を活かした落語」というのが評価されがちという印象がありました。
数年前に奇跡的にぼくが決勝に残った時も、最後の最後に「佐賀から来た人もよかったんですが、社会人落語ですから、もっと普段の社会生活を盛り込んだ落語というのが云々」とコメントをいただいた記憶があります。
ですが、今回は全然職業とは関係なく、やりたいことを全力で表現できた人が評価されたように思います。

さて、決勝の日程も全部終わり。
外に出てファイナリストの方を出待ちしてねぎらい、賞をもらった人を称えます。

夕方までちょっと休憩します。
昼ごはんを食べ損ねたので、喫茶店でピザトーストを食べたりします。

気持ち的には「後夜祭」でもしたいくらいなのですが、明日からの日常が待っているので、名残り惜しいながらも大阪を後にします。

コインロッカーから荷物を引き取って、空港へ。
荷物検査を済ませて、乗り場で座って飛行機を待ちます。
飛行機の離陸がやや遅れましたが、もう座って動く気にもなれません。

帰りの飛行機では席に着くや否やずっと寝てました。
途中のドリンクサービスもすっ飛ばして寝てました。
リクライニングを倒すことなく、垂直な姿勢で寝てたので首が痛いです。
首枕を持ってくればよかった。

21時頃長崎空港着。
空港から自分の車を運転して帰ります。
帰りの飛行機の間ずっと寝ていたのですが、やっぱり疲れはピーク。
横に細君が乗ってなかったら意識がなくなりそうでした。

22時前には帰宅。
勢いで片付け。
片付けながら伊丹空港で買ったおにぎりを食べます。
こんなのでいい。ほっとします。

さすがにクタクタ。
明日からの日常に戻れるかな。

2 件のコメント:

  1. わー、ありがとうございます!
    そのご評価で晩年生きていけそうです!
    そうなのです、オチ、別の大会もこれでエントリーしてしまったので、なぞなぞそのものを変えるか、元号からませるか、うー、悩んでます!
    本当にありがとうございました!

    返信削除
    返信
    1. 風林火山さん
      偉そうに感想を述べてしまってなんかすみません!
      せっかくの改元のタイミングなので元号絡ませたいところですね。
      ぼくは「饅頭怖い」にインスパイアされたオチにしちゃいそうです。

      ともあれ、そちらの大会でのご活躍、期待してます!

      削除

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